WordPressの脆弱性「wp2shell」とは?読み方と、自分のサイトが大丈夫か確かめる3つの手順
旅館やレストラン、お店のホームページには、WordPress(ワードプレス)で作られたものがたくさんあります。
でも、
- 制作会社に作ってもらって、そのあとは誰も触っていない
- 「更新してください」という表示が出ているけど、怖くて押せない
- そもそも管理画面のログイン方法が分からない
という状態のサイトも、実は少なくありません。
2026年7月、そんなWordPressに 「wp2shell」という、かなり深刻な脆弱性(ぜいじゃくせい:セキュリティの穴) が見つかりました。プラグインを何も入れていない、ごく普通のWordPressでも狙われるタイプです。
この記事では、わたしが自分のブログで実際に確認した手順をもとに、
- wp2shellとは何か(読み方も)
- 攻撃されたら何が起きるのか
- 自分のWordPressが対象か確かめる方法
- これからやっておきたい対策
- エックスサーバー・さくらインターネットの対応
を、専門用語をなるべく使わずにまとめます。
先に結論:まずやることは3つ
| やること | かかる時間の目安 |
|---|---|
| ① WordPressのバージョンを確認して、古ければ更新する | 5〜10分 |
| ② ユーザー一覧に「知らない管理者」がいないか見る | 2分 |
| ③ プラグイン一覧に「入れた覚えのないもの」がないか見る | 2分 |
①だけで終わりにしないのがポイントです。理由は後で説明します。
wp2shellとは?
読み方は「ダブリューピー・ツー・シェル」
wp2shell は 「ダブリューピー・ツー・シェル」 と読むのが一般的です。
公式に読み方が決められているわけではありませんが、名前は次の3つでできています。
- wp … WordPress の略
- 2 … 英語の「to(〜へ)」の言い換え
- shell … シェル。サーバーを操作するための画面・仕組みのこと
つまり「WordPress から、サーバーを操作できる状態(シェル)までたどり着ける」という意味の名前です。名前のとおり、乗っ取りにつながるタイプの穴だということが分かります。
どんな脆弱性なのか
wp2shell は、WordPress本体に見つかった 2つの穴を組み合わせた攻撃 の通称です。
- CVE-2026-63030 … 「REST API」というWordPressの通信の仕組みの不具合
- CVE-2026-60137 … データベースに不正な命令を送り込める不具合(SQLインジェクション)
※「CVE-〇〇」は、世界共通で脆弱性につけられる管理番号です。覚える必要はありません。
この2つを組み合わせると、ログインしていない第三者が、外からサーバー上で好きなプログラムを動かせてしまいます。
深刻度は 10点満点中 9.8点(「緊急」レベル)と評価されています。2026年7月17日に修正版が公開されましたが、すぐに攻撃方法が出回り、実際の攻撃も確認されました。日本でも IPA(情報処理推進機構)が注意喚起を出しています。
「プラグインを入れていないから大丈夫」ではない
これまでのWordPressの事件は、追加機能(プラグイン)の穴が原因のことが多くありました。
wp2shell は WordPress本体の穴 です。プラグインやテーマが何であっても、対象のバージョンなら影響を受けます。
攻撃されると何が起きる?
wp2shell で攻撃されると、実際に次のようなことが確認されています。
- サーバーに 「ウェブシェル」(外から遠隔操作するための裏口ファイル)を置かれる
- 身に覚えのない管理者アカウント を追加される
こうなると、サイトはほぼ乗っ取られた状態です。ここからは一般的に考えられる被害ですが、たとえば次のようなことが起こりえます。
- ホームページの中身を書き換えられる
- 訪れたお客さまが、偽の予約ページや詐欺サイトに飛ばされる
- お問い合わせフォームの内容など、サイトに保存されている情報を見られる
- Googleの検索結果やブラウザで「危険なサイト」と表示され、お客さまが来なくなる
旅館やレストランのホームページは、お客さまが「予約しよう」「電話番号を調べよう」と思って訪れる場所です。そこが偽物に誘導されると、お店の信用にそのまま関わります。
怖いのは、更新しても「裏口」は残ることです。 攻撃された後でWordPressを最新にしても、置かれたウェブシェルや追加された管理者は消えません。だから「更新して終わり」ではなく、②③の確認まで必要なのです。
自分のWordPressが対象か確認する方法
ステップ1:バージョンを確認する
WordPressの管理画面にログインして、バージョンを確認します。次のどちらかで見られます。
- 「ダッシュボード」の「概要」の欄に「WordPress 〇.〇.〇」と書かれている
- 左メニューの「ダッシュボード」→「更新」を開く
確認したバージョンを、この表と見比べてください。
| 使っているバージョン | 状態 | やること |
|---|---|---|
| 7.0.0〜7.0.1 | 危険(対象) | すぐ更新 |
| 6.9.0〜6.9.4 | 危険(対象) | すぐ更新 |
| 6.8.0〜6.8.5 | 2つの穴のうち1つが対象 | 更新 |
| 7.0.2以降/6.9.5以降/6.8.6以降 | 修正済み | ステップ2・3へ |
「更新」画面に新しいバージョンが案内されていたら、更新しておきましょう。更新前にバックアップを取っておくと安心です(バックアップについては後の「今後の対策」で触れます)。
自動更新にしているから大丈夫?
WordPress.org は、対象のバージョンに自動更新で修正版を配ったとしています。ただ、サーバーの環境や設定によっては自動更新が止まっていたり、失敗していたりすることがあります。IPAもサーバー会社も「自動更新でも、管理画面で実際に更新されたか確認してください」と呼びかけています。
ステップ2:知らない管理者がいないか確認する
左メニューの「ユーザー」→「ユーザー一覧」を開き、上の「管理者」をクリックして絞り込みます。
自分や制作会社など、心当たりのある人以外の管理者がいないか を見てください。
ステップ3:入れた覚えのないプラグインがないか確認する
左メニューの「プラグイン」→「インストール済みプラグイン」を開き、入れた覚えのないもの、名前が不自然なもの がないかを見ます。
制作会社が入れたものは分からないことも多いので、気になるものは制作会社に確認してください。
わたしのブログの場合
わたしのブログ(このサイト)も WordPress です。確認したところ、
- バージョンは 7.1.3(2026年10月時点の最新版。修正済み)
- 管理者は自分のアカウントだけ
- プラグインも入れた覚えのあるものだけ
で、問題はありませんでした。
ステップ1〜3は、慣れていなくても10分ほどで終わります。
管理画面に入れない・ログイン方法が分からない場合
ホームページを作った 制作会社か、サーバーを契約している担当者に、まず連絡してください。 そのときは、
「WordPressの脆弱性 wp2shell の件で、バージョンが修正版(7.0.2以降など)になっているか確認してほしい。あわせて、知らない管理者やプラグインが増えていないかも見てほしい」
と伝えれば、話が通じるはずです。
おかしな点が見つかったら
知らない管理者や見覚えのないプラグインが見つかったら、すでに侵入されている可能性があります。 この場合、管理者を消すだけでは不十分なことが多いです。
- 制作会社や、WordPressの復旧を請け負う専門業者に相談する
- 契約しているサーバー会社の案内(不正アクセスの確認方法など)を確認する
自分だけで直そうとせず、早めに相談するのがおすすめです。
今後の対策
wp2shell に限らず、WordPressの穴は今後も見つかります。「次に何か起きたとき」のために、次のことをやっておくと安心です。
1. 自動更新を確認しておく
- WordPress本体:「ダッシュボード」→「更新」で、自動更新が有効になっているか確認
- プラグイン:「インストール済みプラグイン」の一覧で、「自動更新を有効化」にできます
ただし、自動更新で表示が崩れることもまれにあります。制作会社が作り込んだサイトの場合は、どこまで自動にするか相談して決めるのがよいでしょう。
2. 使っていないプラグイン・テーマは削除する
「停止」しているだけのプラグインも、ファイルはサーバーに残っています。使っていないものは削除しておくと、狙われる場所が減ります。
3. バックアップを取っておく
万が一のとき、元に戻せるかどうかで被害の大きさが変わります。サーバー会社の自動バックアップ機能や、バックアップ用のプラグインを使っておきましょう。
4. 管理者アカウントを整理する
- 辞めたスタッフや、昔の制作担当者のアカウントが残っていないか
- パスワードは使い回していないか
を確認しておきましょう。
5. 「誰が更新するのか」を決めておく
一番大事なのはここかもしれません。
「制作会社がやってくれていると思っていた」「お店の誰かがやっていると思っていた」という状態が、更新が止まる一番の原因です。保守契約があるのか、ないなら誰が月に一度管理画面を見るのか、決めておきましょう。
エックスサーバー・さくらインターネットの対応
サーバー会社によって、対応はかなり違いました。
エックスサーバー
エックスサーバー(XServerビジネス、XServer for WordPress を含む)は、サーバー側でも対策を行っています。
- 2026年7月19日:攻撃に使われる通信(REST APIの一部)を、サーバー側で暫定的に遮断
- 7月31日頃〜8月25日:対象バージョンのWordPressを、エックスサーバー側で自動アップデート。8月25日以降、対象者にメールで個別に案内
- 不正アクセスがないか確認するための動画も公開
つまり、エックスサーバーを使っていれば、知らないうちに更新されている可能性が高いです。
ただし、エックスサーバー自身も 「管理画面で実際に更新が完了しているか確認してください」 と案内しています。また、まだ古いバージョンのサイトは通信の遮断が続いているため、一部の機能(外部サービスとの連携など)が動かなくなっていることがあります。更新後に遮断の解除を希望する場合は、サポートに問い合わせる形です。
エックスサーバーのサーバーパネルには「WordPressセキュリティ設定」があり、国外からの管理画面・REST APIへのアクセス制限や、ログイン試行回数の制限ができます。ただし、これは WordPressの更新の代わりにはなりません。 国内からの攻撃は防げないためです。
さくらインターネット(さくらのレンタルサーバ)
さくらインターネットは、2026年7月21日にお知らせを出し、
- 対象バージョン(7.0.0〜7.0.1、6.9.0〜6.9.4、6.8.0〜6.8.5)を使っている場合は最新版に更新すること
- 自動更新を有効にしていても、管理画面で更新状況を確認すること
を呼びかけています。
一方で、お知らせには、エックスサーバーのような サーバー側での遮断や自動アップデートについての記載はありません。 また、WordPress本体の脆弱性への対応はサポート対象外で、個別の環境の調査はしないとしています。
さくらのレンタルサーバを使っている場合は、自分で(または制作会社に頼んで)更新を確認する必要がある と考えておいたほうが安全です。
そのほかのサーバー会社
ほかのレンタルサーバーでも、多くの会社がお知らせを出しています。契約しているサーバー会社の「お知らせ」や「障害・メンテナンス情報」のページで、「wp2shell」や「WordPress 脆弱性」の案内がないか確認してみてください。
まとめ
- wp2shell(ダブリューピー・ツー・シェル)は、2026年7月に見つかったWordPress本体の深刻な脆弱性
- プラグインに関係なく、7.0.0〜7.0.1、6.9.0〜6.9.4 が対象(6.8.0〜6.8.5も一部対象)
- まずは管理画面で バージョン確認 → 管理者一覧 → プラグイン一覧 の3つを確認
- 更新しても、すでに置かれた裏口は消えない。おかしな点があれば早めに専門家へ
- エックスサーバーはサーバー側で自動更新まで対応。さくらは利用者自身での更新が前提
ホームページは、お客さまとお店をつなぐ大事な入口です。「作ったまま」になっていたら、この機会に一度、管理画面をのぞいてみてください。
参考
- IPA「WordPressの脆弱性対策について(CVE-2026-60137、CVE-2026-63030:wp2shell)」
- エックスサーバー「WordPressの脆弱性(wp2shell/CVE-2026-63030)に関する注意喚起とサーバー側対策のお知らせ」
- さくらのサポート情報「WordPress の脆弱性にご注意ください(CVE-2026-63030・CVE-2026-60137)」