シキュウジが終わってしまいました。
甲子園決勝45回ツーアウト満塁という最高のクライマックスから始まる驚愕の野球漫画。
異常激情野球大河と名づけられたこの漫画。
ヤンマガの連載からスタートも、途中、ヤンマガwebに移籍で、嫌な気がしていましたが、3巻で完結、最終回を迎えました。
とても残念なので、大好きだったシキュウジについて、あらためて、全巻のあらすじと感想を書きたいと思います。
また、打ち切り(?)となったことで、作者が書ききれなかったと思うネタについての考察を書きます。
シキュウジのあらすじをあらためて
第1巻のあらすじ
初回(第一死)、はじまりは、冒頭に書いた通り、甲子園決勝戦から。
三季連続優勝の白王学院の絶対エース怪物「佐藤さとる」と、無名の高校から甲子園決勝に登り詰めたダークホース星秀の絶対エース天才「天城雄大」の対決です。
初回から、次の一振り、次の一球が人生で最高!
そんな最高を最初に持ってくる圧倒的なスタートから始まります。
そこから、舞台は変わって6年前。
二人の出会いは、小6のリトルリーグでの試合。
元プロ野球日本代表の天城雄一郎の息子の雄大は、小学生の時から怪物と呼ばれます。
完全試合を当たり前のように達成、土つかずの全国2連覇。
ある試合、最後のバッターとして、対戦するのが佐藤さとるです。
当たり前のように、三振を取ります。
試合後、いつも通り、バスには乗らず、家路をランニングで帰ります。
かなりの長い道のりのランニングなので、チームメイトも着いてきません。
ただ佐藤さとるは違いました。
かれは、付いてこようとします。
でも、体力的に圧倒的な差もあり、まったくついてこれません。
※1巻の巻末に中学入学時の二人のプロフィールがありますが、雄大が171cm、61.5kgに対して、さとるは156cm、46.2kgとかなり小さいです。
それでも、さとるは、血反吐を吐いても、付いてきます。
とてつもない時間をかけて・・・。
自他ともに天才と認める雄大に対し、さとるは努力の人。
自分が優秀であることを証明するために、
ただ雄大を超えるために、呼吸を忘れて、ぶっ倒れるまでに練習できる怪物です。
さとるは、雄大を追いかけて、同じ中学に入学します。
第2巻のあらすじ
名門、両神殿中に入学した雄大。
両神殿中は、リトルリーグ15回の優勝を誇る中学野球界の絶対王者。
そこで求められるのは、絶対的な強さのみ。
「我が野球部は実力至上主義!」
一つの失策も命取りで、すぐに2軍に落とされます。
完全実力主義の世界で、一年の雄大は、補欠組のピッチャーとして、レギュラー組との紅白戦に挑むことになります。
小学校のリトルリーグ時代に、バッテリーを組んでいた飯島とのコンビで試合に臨むことになっていたものの。
飯島に謎のアクシデント。
佐藤さとるが捕手を務めることになります。
ただ、レギュラーの3年生の壁は厚いです。
「三振しない男」東堂仁。
「最高傑作」佐々木龍太郎。
「悪童」真田景虎。
U-15日本代表を5人擁する最強メンバーが立ちはだかります。
そして、緊迫した試合が続く中、最後に、雄大の心を乱す大きな出来事が起きます。
第3巻のあらすじ
天城雄一郎が倒れる!
父が倒れる姿を見た、雄大は、集中できずに、試合を放棄することになります。
さすがに同情するチームメイト。
しかし、さとるは違いました。
なぜ野球に集中しない!
そして、ここから、シキュウジたち、一人ひとりを主人公とした番外死が始まります。
最初は、佐藤さとる。
佐藤さとるが、甲子園優勝投手として、エンジョイベースボールで5年前に優勝した、プロ野球選手との対決の話。
壮絶です。
次は、真田景虎。
甲子園での佐藤さとるとの一戦。
三番目は、佐々木龍太郎。
一度は、野球をやめて、アメリカに渡った生きざまが紹介されます。
次が、東堂仁。
三振しない男の異名の理由がわかります。
そして、最後が、天城雄大です。
一度は、野球をやめた彼が、なぜ戻ってきたのか・・・。
第一死につながる話です。
番外死のあとは、全国中学公式野球選手権決勝です。
ほぼ完全試合で、決勝を迎えた両神殿中の相手は、おなじく圧倒的な強さの宝王シニア。
少年院出身のU15幻の4人がいる宝王シニア。
決勝で勝つため、ある意味、試合を楽しむために、雄大に、卑怯な番外戦をしかけます。
この試合で、一人のシキュウジの野球人生が一度終わります。
そして、第27死「終焉」です。
第一死の続き、甲子園決勝での、天城雄大と佐藤さとるの最後の一球が描かれます。
人生で最高の一球、最高の一振り。
勝負はどちらに!
そして、最終話 第28死「シキュウジ」です。
甲子園決勝後の後日談。
天城雄大と佐藤さとるの意外な関係が明らかになります。
シキュウジの感想をあらためて
天城雄大と佐藤さとるの6年間にわたる濃密なバトル
シキュウジのメインは、雄大とさとるのバトルです。
はじめは、雄大と圧倒的な差がありましたが、さとるは、異常な情熱で、雄大に追いつきます。
ラブストーリーなら、ストーカー。
でも、この二人の関係はなんといったら良いのでしょうか?
好きすぎて、壊したい!
壊したいでなく、自分に振り向いてほしいあまり、周りを壊しまず。
佐藤さとるの情熱は、怖いくらいに一途です。
最初から、最後まで、一貫した情熱。
その情熱の理由は・・・。
最後に考察します。
心に残るセリフ、名言
シキュウジは、名言が多い漫画です。
ヤンマガ連載時から、毎号、毎号、名言に感動していました。
少し、紹介します。
次の一振り、次の一球が、己の野球人生で最高
第一死に出てくる言葉です。
序盤から、延長45回ツーアウト満塁のスタートと思い切りハードルが上がっている中での言葉。
最初に見たときもインパクトがありました。
けど、この言葉、最後にもう一度出てきます。
いろんなことがあいまって、言葉の重さを感じます!
ダイヤモンドは歩くものだ
生粋のホームランバッター、真田景虎の言葉です。
シキュウジの中でも、主人公2人の次に好きなキャラです。
身体能力が高すぎる化け物。
異常なまでの反射神経とバットスピードで、ボールを芯でとらえるので、バットを構えたことがありません。
打てば、すべて、ホームラン。
景虎だけがいえる言葉です。
3日前から振り始めても当たらない
その真田景虎がいう言葉です。
ボールの速さを形容する言葉は、いくつかあります。
でも、この言葉を超える形容詞はあるでしょうか?
何それ、負けは負けだろ
番外死で、佐藤さとるが言う言葉です。
プロ野球選手とのテレビの企画対決で、さとるが吠えます。
プロと甲子園では、甲子園の方が上!
シーズンを通しての成績、目先の試合より、今後の選手生命を考えて動く。
負けても明日があるから、目の前の勝負に没頭できない。
戦う顔をしていない。
エンジョイベースボールなんて掲げて優勝したから、高校野球が緩くなった。
笑顔で野球を楽しむ。
ミスをしてもドンマイドンマイ。
失敗しても、これは将来の糧になる?
何それ、負けは負けだろ
常に命を懸けている佐藤さとるだからこそ、言える言葉です。
そして、この後のさとるの暴挙がすさまじい。
シキュウジは血塗られた野球漫画です。
最後まで読んだ人だけ見て!シキュウジの最大の謎、天城雄大と佐藤さとるの二人の関係をくわしく考察
シキュウジが最初から好きだったので、1巻を何度も読みました。
そこで、気になったのが、天城雄大と佐藤さとるの二人の関係です。
単行本に二人のプロフィールが載っています。
年齢は同じです。
生まれた病院も同じ、埼玉県おおもり総合病院。
でも、誕生日は違います。
不思議なのが、雄大には母がいなくて、さとるには父がいないことです。
雄大の母の話は出てきていません。
でも、さとるの父のことは、さとるの母の言葉から分かります。
あなたの優秀な遺伝子を引き継いでいるんだから
また、さとるは、お父さんがきっかけで野球を始めたと言っています。
そして、さとるは、優秀であることの正解を求め、遺伝子レベルで惹かれた天城雄大に付きまとうんです。
もしかして・・・。
そう思いました。
そして、その結論が3巻の最後に出てきました。
やっぱり二人は・・・。
ちなみに、佐藤さとるの高校3年生のプロフィールが載っています。
そこに大罪として、父親殺しがあります。
さとるが殺したのは・・・
こう考えると、二人のバトルは、とても重いです。
まとめ:壮大なストーリーだけど、もっと続いてほしかった・・・
大好きなシキュウジが完結してしまいました。
ヤンマガに連載していたときは、とても楽しかったのですが、番外死になり、変な感じに・・・。
ヤンマガWEBにいっても応援していたのですが、ほんとうに急に最終回になってしまいました。
シキュウジって、題名だったので、四九死だけに、49回くらいやるのかなとか、45回かなとも思ったのですが、本当に急。
3巻の最後に、原作の大沼先生の、「またいつか第2部でお会いしましょう」の言葉に期待!なのですが・・・
最後の挿絵に載ってる佐藤さとるがまたあの言葉をしゃべっています。
何それ、負けは負けだろ
引っ掛かります。
さとると雄大の関係のほかにも、第1死にあった病院にいる謎の男(京田君?)、遺影の母、メジャーのスカウトなどの伏線も回収されていません。
完結で、決勝戦での最後の一球を見ることはできましたが、わたしは不完全燃焼です。
いつかシキュウジの完全版を待ちたいと思います。
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