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映画「国宝」の感想※芸のみに生きる吉沢亮の美しさと狂気!3時間見る価値がある!

映画「国宝」の感想※芸のみに生きる吉沢亮の美しさと狂気!3時間見る価値がある!

映画「国宝」を見てきました。

評判の高い映画でしたが、上映時間175分、約3時間の長さに躊躇したのも事実。

でも、見てよかった。

映画館でお金を払って、3時間の時間を費やす価値がある映画でした。

歌舞伎の世界を描いたこの映画。

原作の吉田修一さんが、黒子として3年間、歌舞伎の世界に入り、取材しただけに、リアルさと説得力が圧巻です。

色鮮やかな歌舞伎の世界と、主人公喜久雄を演じる吉沢亮の美しさが光ります。

感動したので、感想を書きます。

映画「国宝」の公式サイト、予告編

映画名 国宝
公開日 2025/6/6
上映時間 175分
監督 李相日
原作 吉田修一
脚本 奥寺佐渡子
配給会社 東宝
公式サイト https://kokuhou-movie.com/

予告編

完成報告会

映画「国宝」のあらすじ

のちに人間国宝となる立花喜久雄は、極道の組長の息子として生まれます。

極道が集まる新年会で、女形として、席の扉の演目を披露した喜久雄。
ただ抗争がおこり、銃に撃たれた父は亡くなります。

新年会での踊りを見て、喜久雄の美しい顔に何かを感じていた上方歌舞伎の名門の当主・花井半二郎は、彼を部屋子として引き取ります。

そこで、半二郎の実の息子で、生まれながらに将来を約束された大垣俊介と出会います。

美しい顔と芸の才にあふれた喜久雄と、歌舞伎の正当な血筋を受け継ぐ俊介。

生い立ちも境遇も違う二人ですが、ライバルとして切磋琢磨し、歌舞伎の世界を歩みます。

ただ、半二郎が事故にあった際、代役として、世襲前提の歌舞伎の世界ではありえない俊介ではなく喜久雄を指名したことから、運命の歯車が狂っていきます。

映画「国宝」の感想※役者の演技に圧倒されました

吉沢亮、横浜流星、渡辺謙など、そうそうたるメンバーが出演している国宝。

物語のストーリーの良さ、映像の美しさは当然ですが、役者の演技に圧倒されました。

吉沢亮/立花喜久雄※美しさと狂気、芸のみに生きる人間国宝の業


映画「国宝」で、圧巻だったのが吉沢亮の美しさです。

この世ならざる美しい顔をもつ喜久雄を演じる吉沢亮。

顔が美しいのはそうですが、歌舞伎役者として演じる二人藤娘、二人道成寺、曽根崎心中、最後の鷺娘らの演目で踊る姿。

そして、その後の人生で、堕ちていく姿など、すべてに色気を感じました。

極道の息子として生まれるも抗争で親を失い、背中に入れ墨を彫り、かたき討ちに行くもそれも失敗。

故郷も捨て、歌舞伎の世界に飛び込んだ彼。

女にもモテ、家庭も持ちますが、彼の目に映っているのは芸しかありません。

娘を連れて、神社にお参りに行った時。

神様に何をお願いしたのと聞かれ、喜久雄はこう言います。

神様じゃなく悪魔と取引をした
日本一の歌舞伎役者になれるために、ほかは何もいらないと・・・

実の子供にはっきり伝えるほど、喜久雄には芸しかありません。

ただ、その芸ですら、歌舞伎の血筋、そして自分の血筋のせいで、裏切られます。

地方の巡業のときに、ビルの屋上の上で、赤い着物を着て踊るシーンは、予告にもありますが、白塗りの化粧が崩れ、ジョーカーのような狂気を感じました。

のちに国宝となる彼ですが、その圧倒的な才能がゆえに、本当に人を愛することも愛されることもできない姿は、ボヘミアン・ラプソディのフレディ・マーキュリーのようでもあります。

美しさと狂気をあわせもった吉沢亮の演技は、最初から最後まで圧巻。

完成報告会で、渡辺謙が「吉沢亮の代表作」と言っていましたが、まさにそんな演技でした。

横浜流星/大垣俊介※親友でありライバル、恵まれた血筋にものぞく儚さともろさ


喜久雄のライバルであり、親友となる俊介を演じるがの横浜流星です。

歌舞伎の名門の正当な血筋を持つ彼、歌舞伎の家に生まれ、小さいころから稽古に励み、父半二郎の名を継ぐことが運命づけられています。

そこに、現れた異物が喜久雄です。

俊介にも芸の才能があるだけに、喜久雄の才能に打ちのめされ、一時は歌舞伎の道を離れます。

ただ、俊介には血という支えでもあり、呪縛があります。

歌舞伎から離れたくても、離れられません。

でも、彼は精神的にも肉体的にも儚くもろい・・・。

喜久雄に嫉妬したり、いじわるをしたりするのではなく、喜久雄にも優しくまともだからこそ、儚さが際立ちます。

極真空手の世界大会での優勝経験がある、男らしい横浜流星ですが、彼の演じる俊介は、歌舞伎の女形としての儚く美しい存在でした。

渡辺謙/花井半二郎※最後の舞台での演技が圧巻


喜久雄の人生が変えるのが花井半二郎です。

歌舞伎の名門の当主であり、芸を見る目と才能に長けた人物。

だからこそ喜久雄を見出すことができたのですが、自分の息子を忘れることもできず、喜久雄を狂わせます。

半二郎の最後の舞台での演技は、世界的な俳優になった渡辺謙だからこそ・・・。

映画の前半にしか登場しませんが、その言葉や、姿は、最後まで、残ります。

田中泯/小野川万菊※まさに化け物な存在感


歌舞伎の人間国宝の小野川万菊を演じるのが田中泯です。

俳優と言うよりダンサーであり舞踊家が肩書の田中泯さん。

年齢が80歳とかなりの年齢ですが、自分の芸を極められているからこその人間国宝感がはまっています。

おじいちゃんの年齢なのに、女形として、きれいな女性を演じます。

踊る姿やたたずまい、そして、すべてを見透かす言葉。

若い喜久雄が演じる姿を見て「化け物や」と言いますが、まさにそうです。

寺島しのぶ/大垣幸子※名家の母を演じ。その血筋からにじみ出る説得力


花井半二郎の妻を演じるのが寺島しのぶです。

歌舞伎役者の七代目尾上菊五郎を父に持つ、正当な歌舞伎の家に生まれた彼女。

演技も圧巻ですが、歌舞伎を題材とした映画だからこそ、その存在に説得力があります。

国宝のパンフレットでも、喜久雄の存在を歌舞伎の世界ではありえないと言っていました。

完成報告会の中でも、スタッフのような気持ちで、見てきたものとの違和感について意見していたそうです。

この映画にいること、その存在に説得力がありました。

まとめ:美しくも狂気的な歌舞伎の世界を体感できる3時間

3時間という長さに躊躇しましたが、圧倒的に美しくも狂気的な歌舞伎の世界を体感できた映画でした。

映画館の大きなスクリーンで3時間見る価値があると思わせるそんな映画です。

歌舞伎の世界は、令和の今から見ると、閉鎖的で前時代的な感じもする世界です。

メディアに登場する歌舞伎役者も多いものの、歌舞伎を見たことがない人が多いと思います。

ただ、一年以上の年月をかけて、歌舞伎の女形を体にしみこませた吉沢亮、横浜流星らの演技は、歌舞伎の世界を体感させてくれるものでした。

曽根崎心中など、歌舞伎の演目も映画のなかで披露されます。

撮影は、カンヌ国際映画祭 パルム・ドール受賞したソフィアン・エル・ファニ。

早着替えのシーンなどで、白い着物が赤い着物に変わるところなどの鮮やかさは、異国の人だからこそ、美しさが分かったのかもしれません。

本当に美しい映画でした。